• Makiko Kaiser

【消費財業界の通訳 その5】店頭ツール

最終更新: 2020年3月31日


【消費財業界の通訳 その5】店頭ツール

*あくまで通訳者目線での理解と訳出のポイントを書いていきます。

もしかしたら私が誤解している部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。

そしてお手間でなければメールで教えてください!


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店頭 (instore)では各メーカー目立とうと必死です。

単に商品だけ置いていてもシビアな消費者は買い物カゴに入れてくれないかもしれません。

あの手この手で「買って買って」と訴えかけています。

今日はそういう目立たせツールについて書きたいと思います。


(ちなみに目立たせツールっていうのは今私がひねり出した表現であり、

業界用語でもなんでもありません。悪しからずご了承ください)


目立つ (stand out) ことを「視認性をあげるget visible 」などと表現します。

視認性をあげるための取り組みが云々、と会議で出てきたりします。

名詞形のビジビリティはカタカナで使ったりもします。


目立つには商品プラスアルファの仕掛けが必要です。

具体的に見ていきましょう。



化粧品の例です。

パッと見て一番目立っているのは最上段の女優さんが印刷してあるボードですよね。

これをトップボード top board と言います。

商品のキャッチコッピー copy 効能に関する文言(クレーム、claim)もありますね。


(*英語では苦情の意味でclaimとは絶対言いませんので注意)


その手前に商品が見やすく陳列されたディスプレイがあります。

最上段においてあるので トップシェルフディスプレイtop shelf display とか、カウンターディスプレイcounter displayとか言います。

商品が入っていない状態 (empty display)で店舗に送り込まれ

組み立てや商品補充、設置などはメーカー側の人間がやったりする場合と

工場で商品が詰められた状態(同梱、prepacked)出荷される場合があります。



写真の場合、トップボード4枚、カウンターディスプレイも4台、横に並べた配置になっています。


ちょっと写真だとわかりにくいですけれど、

化粧品ですので商品が試せるようにサンプルsample なんかも置いてあったりするんじゃないでしょうか。




こちらは敏感肌 sensitive skin 用 のスキンケア商品です。







左上のぴょこんと飛び出した「赤ちゃんにも使える キュレル」って書いてあるのは、

多分スイングPOPとか、スインガー swinger って呼んだりするかなと思います。

立体的なので目立ちますよね。お母さんたちへのアピールですね。


最上段のところ、横に黄色い線で印をつけたのは、レールPOPとか呼ばれるものです。

値札が所々かぶっているのでわかりにくいかもしれませんが、

ブランド名(Curel)と連続して印刷してある、細長いバナー状のものです。

これを商品棚の手前に入れて、ブランドが目立つようにしています。


この写真は上から4段が青い Curel、再下段がピンクのMINONで、

ブランド別の陳列(ブランド陳列、brand display, brand block )になっていることが

パッと見てわかりやすくなっています。


一番左の真ん中あたり、「ラ ロッシュ ボゼ」と書いてあるのは

本棚に使うブックエンドみたいな形状ですが、これも3Dでわかりやすいですね。

ブランド名がパッと伝わります。


その隣、Curelのローションに「おかげさまで1000万本突破」って書いてある赤いの、わかりますか?

これはアテンションステッカーattention sticker と呼ばれるもので、

商品のパッケージに貼っています。

緑色のロゴはアットコスメのロゴで、多分賞をとったのでしょう。



その右側の「潤いを保つ地肌ケア」とか、

最下段の左下、「ヘアシャンプー」「コンディショナー」と書いたのなども

アテンションステッカーです。


ミノンのシャンプーコンディショナーの前には香り見本scent sample もついてますね。


下から2段目の右側、「乾燥性敏感肌に」と書いてある黄色の前に張り出した帯状のもの。これも立体POPの一種だと思います。


右下の丸をつけたところ「ミノンのやわらか泡タイプ」と書いてあるのも

レールPOPの一種なのかな、と思いますが、違う呼び方があるのかも。




こちらはメディキュットという着圧靴下compression hosiery の事例です。

棚の外側にこういうのが引っ掛けられていることもありますね。

こういうのはハンガーディスプレイhanger display と言います。

カウンターと同じで、商品が入ってない状態でメーカー出荷されたり、

商品が入った状態で出荷されたりします。

メリットは、通常の棚に入れなくても販売スペースを確保できること、

すごく目立つこと、などです。


こういうのが棚に引っかかっていなくて、床においてある自立式のも

スペースの大きい店舗では使われているかと思います。

そういうのはフロアディスプレイ floor display と言います。


見たことありますよね。こういうのです↓


ビオレU(ボディウォッシュ)のフロアディスプレイ。



下の写真↓ はアレジオンとアレグラのフロアディスプレイ。

OTC(処方箋なしで買える一般用医薬品)です。

需要が高い花粉症のこの時期に特に目立つように、店の前の、誰でもが見る良い場所に置いてありました。

この大きさだと商品同梱じゃなくて、多分店先で誰かがボール紙でできたパーツを組み立てて、商品を入れて、設置しているんだろうなと思われます。


置いてある場所ですけれど、ビオレUもOTCも建物の柱のところにあるのわかりますか?

定番棚に入れなかった(入らなかった)商品でも、

こういうボール紙でできた仮設の棚をメーカーが提供することができて

棚を置けない半端なスペースに食い込めたら、売り上げるチャンスが得られます。

小売にとっても日々の売り上げを上げてくれる大切なツールです。




上の例では、エンドシェルフの側面に色々なブランドの色々なハンガーが引っかかっています。

右下のは下痢止め(ストッパ)、真ん中の下はトラベル用の歯ブラシ、

その上はコンタクトレンズ用のケース、ヘアトリートメント、シャンプーのサンプルなどです。

少しでもスペースを見つけて割り込んで行こうという各社の意地とガッツが見えますね。

ハンガーを作っていなかったら棚の側面に引っ掛けられないので、

こういうのを用意しておくのも大事なのです。


ちなみに右に見える黄色いプラスチックの入れ物。

オリコンって言います。音楽のオリコンじゃなくて表記は多分「折コン」。

英語は folding container でいいと思います。

中身がからになるとパタパタって折り畳める仕様で、

物流倉庫とかに行くと必ず必要なボキャブラリーです。

この写真を撮った時は多分品出し中だったのかな。


話は戻って、こういうディスプレイをするためのツール

(カウンター、ハンガー、フロアディスプレイなど)を総称して什器(じゅうき)fixture と言います。

ここまでdisplayと書いたところは全部fixtureで置き換えても問題ありません。

floor display -> floor fixture

coutner display-> counter fixture でOK。


ステッカーなどのPOP類も含めて、

店頭で使うツール類を総称していうときは

店頭ツール instore material、instore tool と言ったりします。


ちなみに、こういった目立たせるための仕掛けに対しては誰かたお金を出さないといけません。

多分メーカーのマーケティング部門のマーケティング費用(marketing expense、ME)から出すのが多いんじゃないかなと思います。


基本的にマーケティング部門が商品の企画をし、

営業部門が売ってくるために必要なものを提供する、というのが、

消費財メーカー社内の基本的な構図です。


テレビCM(TVCとか、TV copyと言います)やオンラインビデオ online videoなども

もちろん有力なマーケティングツールですが、

店頭で商品を目立たせるためのツールもマーケティングツールと言えるかと思います。

こういうのがあるから目立ちますので、売れますよ、御社の棚効率に貢献しますから置いてください、という交渉を

メーカーの営業さんは小売りに対してするわけです。




今回のtake away 


店頭 instore 
目立つ stand out
視認性、ビジビリティ visibility 
トップボード top board
キャッチコッピー copy 
クレーム claim
トップシェルフディスプレイ top shelf display 
カウンターディスプレイ counter display
空什器 empty display 
同梱prepacked 
スイングPOP、スインガー swinger 
レールPOP rail POP
ブランド陳列 brand display, brand block
アテンションステッカー attention sticker 
ハンガーディスプレイ hanger display
フロアディスプレイ floor display
什器(じゅうき)fixture
店頭ツール instore material、instore tool
マーケティング費用 marketing expense、ME
テレビCM TVCTV copy
オンラインビデオ online video



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新型コロナが始まって1年以上経ちました。 個人的には二度目の妊娠出産がありました。 通訳界隈では、オンラインの利用が普及しました。 1年ちょっとまえは、 同じ部屋で2本のマイクを同時にONにしたらハウリングする、という事実も 通訳者の常識ではありませんでした。今はみんな知ってますよね。 オンライン会議に自宅から入るのもすっかり慣れました。 リモートワーク、私は大好きです! 「通訳を提供する」という

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